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CAD/CAMの基礎

【初心者向け】「工具径補正」について、イメージ図を交えながら解説!

今回は、「工具径補正」について解説します!
役割やメリットについて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
 
旋盤の加工イメージ

「工具径補正」とは?

工具径補正とは、「工具径の補正をNC工作機械で自動的におこなう機能」です。
NCプログラムが指示する加工経路に対して、NC工作機械で設定した値(通常は工具半径値)分、進行方向の右または左に工具をずらして加工をおこないます。
 

なぜ工具径補正が必要なの?

工具径補正が必要な理由は、工具をずらさないと本来残したい形状まで切削してしまうからです。
例えば、下の図の形状を削る際、加工経路を補正しない場合は、指示された座標の真上を工具が走るため、工具半径分、内側に入った状態で切削してしまいます。
つまり、加工経路(黄色矢印)の内側に工具が食い込んでしまいます。

工具径補正なしのイメージ図

 

残したい形状を切削してしまわないよう、工具径を考慮して座標値を計算しNCプログラムを作成すればいいのですが、いちいち計算するのは大変です。
また工具を変更する場合は、工具径が変わるため座標値を再計算する必要があり手間がかかります。

そこで、便利なのが「工具径補正」です。
工具径補正を行うことで、自動的に使う工具の半径分、ずらした状態で加工するため、NCプログラムの座標値を気にする必要がありません。
そして、下の図のような形状を作成することができます。

工具径補正のイメージ図

設計通りの寸法に加工するためには、「工具径補正」が重要ということが分かります。
※工具径補正の補正値は、NC工作機械で設定する必要があります。設定方法は、機械の取り扱い説明書をご覧ください。

 

工具径補正のメリットは?

先ほども触れた通り、使用する工具が変わった場合でもNCプログラムを変更する必要がないことが工具径補正のメリットです。 例えば、工具径補正をおこなわずに5φの工具を使用するNCプログラムを作成するとします。
工具が5φの場合は、工具半径値は「2.5」になるので「2.5」の分だけ、座標を計算し、NCプログラムを作成します。

5φの工具イメージ図

その後、使用する工具が10φに変更になった場合は、工具径が異なるため、NCプログラムの座標値を変更しなければいけません。
工具が10φの場合は、工具半径値が「5」になるので「5」の分だけ、再度座標を計算し、NCプログラムを作成します。
座標を再計算しNCプログラムを再作成しますが、これは手間になります。

10φの工具イメージ図

 

しかし、工具径補正を使用することにより、自動的に工具半径分ずらした状態で加工するため、NCプログラムを再作成する手間を省くことができ、大変便利です。
1度NCプログラムを作成してしまえば、工具が変わった場合でも気にすることなく、スムーズに加工を行うことができます!

また、今回詳しくご説明していませんが、工具径補正に関連して「工具径補正量」というものがあります。
こちらは切削時の摩擦や熱、切粉などによって工具が損傷する「工具摩耗」や、座標値の許容範囲である「公差」に応じて、補正値を微調整することができるため、臨機応変な対応が可能です。
 

工具径補正について知っていただけましたか?

工具径補正は、加工を行う上でなくてはならない存在です。
加工上の問題で、使用する工具を変更しなければならなくても、工具情報を変更するだけで機械側で簡単に再計算してくれるため、大変便利な機能です。
これから加工に携わる方はぜひ参考にしていただけると幸いです!
 

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それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!

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